藤田令伊『アート鑑賞、超入門!』を読んだ

舞台芸術、実演芸術が、ごっそり「あらゆる芸術表現活動」から抜け落ちている(「はじめに」より)ように見受けられることにだいぶがっかりしてから中身を読んだのだけれど、それを補って余りある内容だった。明示的に想定されていないからこそ、舞台芸術への展開を考えながら読めて、ありがたかった、とさえ言ってもいい。

平易な言葉でとても実践的な教唆が多く行われていて、しかもラディカル。絵を見るのに明日から使える、という感じで、その上内容は高度だ。 「アート鑑賞」を通じて批評的精神を鍛えること、隣百姓的態度からの卒業、といった、2016年にタイムリーな事柄にも、終盤に実例を上げて言及されており、アートと社会について、地に足をつけて活動しておられる態度が垣間見えて頼もしい。


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