Ableton Live で舞台音響 1 導入編 パソコンだけで使う

演劇やダンスなど、舞台の音響で音源を再生するときによく使われるソフトに、Ableton Liveというのがあります。が、このソフト、もともと打ち込みやループで音楽を作ったり演奏したりするためのソフトなので、最初に舞台音響で使いやすいように設定した方が良いです。また、機能が豊富なので、少し慣れるまで、「ここを変えるにはどうしたらいいの?」となりがちです。

ここでは、まずは、最低限の初期設定に絞って、導入時の設定手順をご紹介したいと思います。

最初に、ソフトの基本的な設定をします

インストールして、オーソライズを済ませます。Ableton Liveの一番大きな画面の切り替え(アレンジメントビューとセッションビューの切り替え)は、[Tab]キーで行います。がらっと変わります。うっかり押したり、分からなくなった時のために。ここからは全て、セッションビュー(縦横に罫線のある表計算ソフトのような画面)を使います。キーの表記はWindowsの物を表記していますが、必要に応じて、[Ctrl]を[Cmd]に等読み替えてください。

それでは設定をします。Liveには、シーン(表計算ソフトで言う「行」。一度に再生させる音を並べたもの)の実行時に、前に実行中のシーンがあればその小節が終わるまで待つ、という機能があります。音の再生(シーンの実行)は即時にさせたいので、これを切ります。

メニューの[オプション]->[ラウンチクオンタイゼーション有効]のチェックをはずします。

Liveには、ループミュージック等に便利な、音素材を自動的にテンポにあわせて時間的に伸縮させる機能(Warp)があります。ここでは、編集の済んだ音素材ファイルを、テンポの変更無くかけたいので、これを切ります。また、個々の音素材(Liveでは「クリップ」)を再生し始める(Launch/ラウンチ)ときの設定もします。

メニューの[オプション]->[環境設定]->[Record Warp Launch]タブで、「ショートサンプルのループ/ワープ」を「Unwarped One Shot」に、「ロングサンプルの自動ワープ」を「オフ」にします。「デフォルトラウンチモード」を「Trigger」に、「デフォルトラウンチクォンタイゼーション」を「None」にします。「再生開始時に次のシーンを選択」をオンにします。

ここまでで、作った音源のテンポが変更されず、再生操作をしたら即時に再生され、音素材はいつも頭から再生され、シーンを再生したら自動的に次のシーンをスタンバイ、という設定になりました。

Liveには、パソコンのキーボードをピアノ鍵盤に見立てて演奏する「コンピュータMIDIキーボード」機能がありますが、ここでは、パソコンのキーボードをシーンの行き来や個々の音素材の再生などのコントロールに使いたいので、これを切ります。メニューの[オプション]->[コンピュータMIDIキーボード]のチェックを外します。これでキーをシーンの前後や再生、停止に使えたり、キーに直接音素材を割り当ててサンプラーのように使えたりします。

これで、Liveのソフト側の設定はとりあえず終わります。

次に、ファイルの設定をします

新規Liveセットを作成します。[Ctrl]+[N]か、メニューの[ファイル]から。

MIDIコントローラやデジタルミキサーのボタンと連携させてもいいのですが、今回は「パソコンだけで使う」ので、ここではパソコンのキーボードで操作できるように、シーンの前後、再生、停止を、好みのキーに割り当てます。[Ctrl]+[K]か、メニューの[オプション]->[キーマップアサインモード]を選択します。

このモードで、画面上の操作部分(ボタンなど)オレンジになった部分をクリックしてから、文字のキーを押すと、その部分の機能がキーに割り当てられます。

右のマスターフェーダの上に、操作機能が固まっています。

シーン再生、前のシーンへ、次のシーンへ、全音ねたのストップ(STOP CLIPS)等です。片手で出来る配置のキーを割り当てるようにすると便利です。キーボードにもよりますが、例えば再生(▶)を[O]、シーン戻り(↑)を[@]、シーン送り(↓)を[:]、STOP CLIPS(■)を[H]とかです。音が止まりうるキー(エンターやスペース、ファンクションキー等)と隣接しないようにすると安全です。

次に、トラックを増やします。トラックひとつで一度に一つの音が流せます。[Ctrl]+[T]で数個増やしましょう。MIDIトラックがもしあれば、削除しても大丈夫です。MIDIトラックの最上段の色がついて名前が書いてあるところをクリックして、[Del]で。

スロット(一つのマス目、表計算で言うセル)に■が入っていたら、それは停止ボタンです。そのトラックで再生している音を止めます。[Ctrl]+[E]で出したり消したりできます。さしあたり、全部消してしまってもよいでしょう。後々コピー&ペーストして使うのに便利なので、最初か最後に1シーンだけ、全トラックに停止ボタンが並んでいる「全ストップシーン」を作っておいてもいいかもしれません。

シーンも適当に増やしておくと良いでしょう。[Ctrl]+[I]で増やすか、すでにあるシーンをコピー&ペーストでも良いでしょう。

好みの操作系のキー設定やトラック数ができたら、メニューの[オプション]->[環境設定]->[File Folder]のタブの「現在のセットをデフォルトとして保存」しておくと後が楽です。

音ファイルを並べて、再生してみましょう

音ファイルを並べて、アサインしたキーで操作してみましょう。

音のファイルは、USBメモリに入れておくのがおすすめです。OSやLiveの入ったドライブはそれらのアクセスが頻発します。読み出しが間に合わなくなるかも?HDDよりもランダムアクセスに強いフラッシュメモリがおすすめです。

音ファイルのありかを出します。

セッションビューの左端、上側の、▼をクリック(すると画像の通り▶になります)。

ライブラリが表示されたら、少し下の方にある「場所」の項目の「フォルダを追加」を追加を選び、音ファイルのある場所にたどり着きます。再生したいファイルを、どこかのトラックのどこかのシーンにドラッグ&ドロップします。

これで、好みの順序に音を並べて再生できます。シーン再生のボタンを何度か押せば、次々にシーンを再生できます。あるトラックで流している音を止めるには、ストップボタンを置いておいてそのシーンを実行します。

クリップごとの音量設定や頭出しが、オペレートをがらりと変えるくらい便利なので、それは次の記事で。

フェーダーで音量を操作するには、ミキサーにつなぐもよし、フィジカルコントローラーをつなぐもよしです。また、あらかじめフェードカーブを作っておいて、シーンを実行するとそのフェード操作を実行する、ということもできます(Live9,10くらいからどんどん便利になった部分です)。そのあたりは次以降の記事で。

お読み頂きありがとうございました。お役に立てば幸いです。

同じ内容の、noteの記事はこちらです。

【次の記事】Ableton Live で舞台音響 2 音素材ごとの、音量設定と頭出し


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者: