舞台仕込み図オープンテンプレート、20250210更新のご紹介

舞台仕込み図オープンテンプレート、20250210更新のご紹介

舞台仕込み図オープンテンプレート」というプロジェクトをやっています。無償のソフトで使える、無償のテンプレートを公開して、誰にでも、見やすくきれいな図面が描けるように、というもので、これ自体についての詳細はこちらのnote記事(か、同内容の当ブログ記事)をお読みいただければ幸いです。

この記事では、ここ2か月ほど行っていた、様々なアップデートの内容と経緯を、紹介いたします。

2025年1月(先月です)に、吹奏楽やオーケストラの配置図、セッティング表で使う、大型楽器類や譜面台、イス類をはじめとした、数十件の追加と修正を行いました。

[2025/1/3 に追加/修正した記号の一部です。譜面台、ティンパニ、バス椅子、ウッドベース、ハープ、ドラムセットやチューブラーベルなど、様々な演奏/舞台用品があります。]

また、2月10日には、ポップス、ロック、ビッグバンド等で頻出する楽器の記号の、リファインと追加も行いました。

[楽器のリファインの紹介です。微細な濃淡の表現に頼ったり、細かすぎたりしたものを、白黒を基本にシンプルに描きなおしたり、演奏時の形で平面図に描けるような記号、持ち換え用に置いておくことの表現に使えそうな記号を追加しようとしています。]

舞台裏方・舞台スタッフというものに手を染めるはじめの一歩として、「オーケストラ部や吹奏楽部や、アマチュア楽団やで、ステマネさん(ステージマネージャー)になって、配置図や、セッティング表を描くことになって」というケースがあるな、という想定は、プロジェクト開始当初からありました。ですので、公開直後の一連の更新で、基本的な楽器の絵記号については、追加してはありました。

が、それから数年を経て、他にも様々な記号が増えて、結果、過去の記号が簡潔さに欠けることが気になり始め、また、自分の本業でプロフェッショナルなステージマネージャーのお仕事に触れる機会もあり、さらに、学生さんの図面の作成環境を拝見する機会もありまして、「これは、もっと実用性の高い記号群を、もっと親切に整備して、舞台スタッフのすそ野の広がる地ならしをした方が良い」と思うに至りました。

ここ2か月の更新の大まかな方針としては、

  • オーケストラのステージマネージャーさんたちが準備をするのは、イスと譜面台と大型楽器なので、それらの充実を図る
  • 吹奏楽の配置図では、パーカッション群の配置がはっきり分かった方が良いので、より実用的な記号を用意する
  • ビッグバンドの仕込みの上で重要な、ドラムス、ギター、ベース、アンプ類、ピアノやシンセの記号が揃っているようにする
  • バンドがライブハウスに出すような図面にも、平面図として見やすいように改めて対応する

といったものです。具体的には、

  • マリンバ、シロフォン、ビブラフォン、グロッケンシュピールなどの、実物の形が似ていて、実物に似た記号では判別しづらいものは、もはや文字で表記した記号も用意してしまう
  • ドラムセットや、吹奏楽でのコントラバス/ウッドベースは、ぱっと見て位置がわかる方が良いので、記号を用意する
  • 吹奏楽では人の位置を〇で、譜面台の位置を×で描くケースがあるのを、あらかじめ用意する(これまでは「それくらいは自前で描いてもらって」と思っていましたが、もうちょっと親切にした方がよさそうと思ったのでした。)
  • バス椅子を複数種類追加
  • ティンパニ、トムトム、タムタム、コンガ等を似たような詳細度で追加
  • エレキギター、ベース、アコースティックギターの、演奏時の上から見た形状の記号を用意する
  • 以前、あってもよさそうと思ったもののそのままになっていた、PCDJコントローラや、小型のアナログミキサーとデジタルミキサーの追加

という感じです。

実際の更新内容は、プロジェクトサイトの更新履歴をご覧ください。

この更新により、こうした図面が描けるようになりました。(すべて架空の団体の架空の演奏会です。)

※小さい場合は拡大してご覧ください。

[吹奏楽の配置図の例。「ウィンドアンサンブルQ 第n回演奏会」です。
「配置図 第4版」とバージョン表記があります。
凡例に、平台や譜面台など備品の数が記入されています。
舞台には台組があり、演奏者が○で表記され同パートが線で結ばれ、譜面台は×で表記され、パーカッション類は絵記号で配置がぱっと見にわかりやすく、見ただけではわからなくなりそうなもの(ティンバレスやコンガなど)は文字表記もしています。ウッドベースは一台で、アンプらしいものがそばにあるので、ピックアップがついているのでしょう。
凡例に、ベースアンプとギターアンプも記入する、会場借用備品か持ち込み備品かを明記する、などすると、なおよさそうです。]
[大人数目のオーケストラの配置図の例、「P大学オーケストラ部 第16回春季演奏会」です。
「配置図 第2版」とバージョン表記があります。
凡例に使用備品の種類と数が書かれています。
舞台には台組があり、+121,+303といった台の高さが記入され、グレーで色分けもされているようです。おおむね二人に一つの譜面台があり、弦楽器のパートは点線で区切って”2nd Violin”等と表記されています。
シロフォンの奥側の○二つはいわゆるトムトムなのかコンガなのか等はこの図からはわかりません。ひとつしかないので取り違えないから良い、ということかもしれません。右下の平台が白いのは、塗り忘れでしょうか。]
[小さめの編成のオーケストラの配置図の例、「S.オーケストラ 202n夏公演」です。
「配置図 第2版」とバージョン表記があります。
凡例に使用備品の種類と数が書かれています。
おおむね二人に一つの譜面台があり、弦楽器のパートは点線で区切って”Viola”等と表記されています。]
[ロック・ポップスのバンドの、ライブハウス宛ての配置図です。5人の演奏者の楽器と配置やモニタースピーカーの希望配置が描かれ、持ち込むものとそうでないものが色分けされ、文章による使用物品と持ち込み物品の記述もあります]

以上がサンプルです。本業ではない拙作でして、おかしなところがあればご指摘を頂けましたら幸いです。
(本題ではないのですが。吹奏楽の配置図を「セッティング表」と呼ぶことが多いようなのですが、実際には「表」ではなく「図」なのでは。どうしてそうなったのか、興味を抱いています。)

他に、今回のアップデートでは、救護所、車いすマーク、オーディオガイド、受付、インフォメーション等の記号も追加しました。全仮設の催事でそれぞれの場所を図面上に表記する際などに良いかと思います。文化祭とか、学園祭とか、保育園、幼稚園の催し物なんかもですね。

立ち位置の表記などに使える、足跡記号も追加しました。あっても良いのでは、と知り合いの舞台監督さんにリクエストいただいていたものです。

センターラインマークがラインにスナップしやすくなったりもしました。

さらに、今回のアップデートの目玉の一つに、プロジェクトサイトに掲載の図面サンプルの充実、というのもありました。各種舞台図面のサンプルがサイトからダウンロードできます(前掲の図面もあります)ので、まずはそれをいじってみるところから図面づくりを始めることもできます。

ぜひどうぞ、ダウンロードして、インポートして、図面をお描きになってみてください。経験者やお仕事になさっている方々は、これらが初心者や入門者にとって良いものになっているかどうか、ご確認いただけましたら幸いです。

今後とも、舞台仕込み図オープンテンプレートを、どうぞよろしくお願いいたします。


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