「舞台仕込み図オープンテンプレート」というプロジェクトをやっています。無償のソフトで使える、無償のテンプレートを公開して、誰にでも、見やすくきれいな図面が描けるように、というもので、これ自体についての詳細はこちらのnote記事(か、同内容の当ブログ記事)をお読みいただければ幸いです。
この記事では、ここ2か月ほど行っている、様々なアップデートの内容や経緯を、まとめて紹介いたします。
2025年1月(先月です)に、吹奏楽やオーケストラの配置図、セッティング表で使う、大型楽器類や譜面台、イス類をはじめとした、数十件の追加と修正を行いました。
舞台裏方・舞台スタッフというものに手を染めるはじめの一歩として、「アマチュアオーケストラやオーケストラ部や、吹奏楽部やアマチュア吹奏楽団やで、ステマネさん(ステージマネージャー)になって、配置図や、セッティング表を、描くことになって」というのは、プロジェクト開始当初の想定からありました。ですので、2018年4月の公開直後の一連の更新で、基本的な楽器の、やや詳細な記号については、追加してありました。
が、それから数年を経て、他にも様々な記号が増えて、結果、過去の記号が簡潔さに欠けることが気になり始め、また、自分の本業でプロフェッショナルなステージマネージャーのお仕事に触れる機会もあり、さらに、学生さんの図面の作成環境を拝見する機会もありまして、「これは、もっと実用性の高い記号群を、もっと親切に整備して、舞台スタッフのすそ野の広がる地ならしをした方が良い」と思うに至りました。
意識した点は、
- 大まかには、オーケストラのステージマネージャーさんたちが準備をするのは、イスと譜面台と大型楽器なので、それらの充実を図る
- もう一つ大まかには、吹奏楽の配置図では、パーカッション群の配置がはっきり分かった方が良いので、より実用的な記号を用意する
- マリンバ、シロフォン、ビブラフォン、グロッケンシュピールの、形が似ていて実物に似た記号では判別しづらいものは、もはや文字で表記したものも用意してしまう
- ドラムセットや、吹奏楽でのコントラバス/ウッドベースは、ぱっと見て位置がわかる方が良いので、記号を用意する
- 吹奏楽では人の位置を〇で、譜面台の位置を×で描くケースがあるのを、あらかじめ用意する(これまでは「それくらいは自前で描いてもらって」と思っていましたが、もうちょっと親切にした方がよさそうと思ったのでした。)
- バス椅子を複数種類追加
- ティンパニ、トムトム、タムタム、コンガ等を似たような詳細度で追加
- 以前、あってもよさそうと思ったもののそのままになっていた、PCDJコントローラや、小型のアナログミキサーとデジタルミキサーの追加
という感じです。実際の更新内容は下記のようになりました。

この更新により、こうした図面が描けるようになりました。下に三枚のサンプルを掲載します。すべて架空の団体の架空の演奏会です。
※小さい場合は拡大してご覧ください。
「配置図 第4版」とバージョン表記があります。
凡例に、平台や譜面台など備品の数が記入されています。
舞台には台組があり、演奏者が○で表記され同パートが線で結ばれ、譜面台は×で表記され、パーカッション類は絵記号で配置がぱっと見にわかりやすく、見ただけではわからなくなりそうなもの(ティンバレスやコンガなど)は文字表記もしています。ウッドベースは一台で、アンプらしいものがそばにあるので、ピックアップがついているのでしょう。
凡例に、ベースアンプとギターアンプも記入する、会場借用備品か持ち込み備品かを明記する、などすると、なおよさそうです。]
「配置図 第2版」とバージョン表記があります。
凡例に使用備品の種類と数が書かれています。
舞台には台組があり、+121,+303といった台の高さが記入され、グレーで色分けもされているようです。おおむね二人に一つの譜面台があり、弦楽器のパートは点線で区切って”2nd Violin”等と表記されています。
シロフォンの奥側の○二つはいわゆるトムトムなのかコンガなのか等はこの図からはわかりません。ひとつしかないので取り違えないから良い、ということかもしれません。右下の平台が白いのは、塗り忘れでしょうか。]
「配置図 第2版」とバージョン表記があります。
凡例に使用備品の種類と数が書かれています。
おおむね二人に一つの譜面台があり、弦楽器のパートは点線で区切って”Viola”等と表記されています。]
以上がサンプルです。おかしなところがあればご指摘を頂けましたら幸いです。
本題ではないのですが。吹奏楽の配置図を「セッティング表」と呼ぶことが多いようなのですが、「表」ではなく「図」なのでは。どうしてそうなったのか、興味を抱いています。
2/2現在では、さらに、ビッグバンドや、ロック・ポップスのバンドの配置図も、より見やすく描けるように、記号の拡充やアップデートを行っています。
アップデートした暁には、

こんな図面が描けるようになる予定です。
2月上旬のリリースを目指して、現在作業中です。
ご興味をお持ちいただけた皆様は、ぜひどうぞ、ダウンロードして、インポートして、図面をお描きになってみてください。経験者やお仕事になさっている方々は、これらが初心者入門者にとって良いものになっているかどうか、ご確認いただけましたら幸いです。
今後とも、舞台仕込み図オープンテンプレートを、どうぞよろしくお願いいたします。